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2019-04

新型リーフが売れそうな懸念

新しい日産リーフは400kmの航続距離を達成して、バッテリー切れの不安が薄らいだ。
EVの最大の弱点が短い航続距離だったので、これで販売にも勢いが出そう。


それ以上に影響が大きそうなのがデザインの変更だろうか。
前のリーフはナマズというか深海魚というか、ヌメッとしたデザインでかなりカッコ悪かったような気がしないでもない。
同じ魚ならBMWのようにサメとかシャープなものが良かったのだが、エコなイメージを演出するためか変なマイルド路線で少し残念な感じに。
フロントグリルをなくしたりして従来のガソリンエンジンとは違うEVらしい未来感とかを演出したかったそうなのだが、同じグリルレスならフィアット500とかの方が(ルパン三世な感じがして)好きだ。
いっそ日産が前に出してたフィガロ路線でもよかった気がするものの、レトロ調では空力や未来感の点でNGか。
いずれにせよ、マイナーチェンジでも頑なに守るほど秀逸なデザインだったかというと疑問が残る。


日産も実は自覚していたのか、新型リーフは随分普通の車な感じになった。
シンボルのVモーションを取り入れているし、穴は開いてないけどフロントグリルだってある。
エコといえばマイルド一辺倒といった固定観念をやめて、スタイリッシュでなかなかカッコイイ。
これなら乗っていても気恥ずかしくないのではなかろうか。




航続距離については、モード燃費で400kmということなので実燃費を7掛けとしても280kmは走る。
それだけあれば郊外の行楽地やゴルフ場でも県内なら行って帰ってこれるだろうし、日常使用でもバッテリー切れを心配する頻度がかなり減りそうだ。
ガソリン車に近い実用的な領域に達した感じに思える。


初代の初期型は200kmと今の半分だったので、これでは実燃費を考えると常にバッテリー切れが不安になる。
その不安を解消するには小型の発電エンジンをトランクルーム下に搭載して、万一の時には100kmほど航続距離を延ばせるレンジエクステンダーという手法があったのだが、BMWと違い日産はついに搭載しなかった。
同じコストを掛けるのならバッテリーを24kwから30kwに若干増やすよりは、ガソリンを給油すれば(一応)無限の航続距離を誇るレンジエクステンダーの方が当時としては実用的だろう。
インバーターとかの補器類をエンジンルーム内に移したマイチェン時にぜひ設定して欲しかった。
その下位互換と言えなくもないノート・ハイブリッドの大ヒットを見るに、そうすればリーフももっと売れていておかしくない。


デザインと短い航続距離の問題によって、初代リーフは想定以上の苦戦を強いられたような気がする。
どちらもマイチェン時に解消可能だっただけに惜しい。
EVらしさをあくまで追求したとも言えるのだが、過渡期で伴わない実用性とメッセージ性の強すぎるデザインは両方ともユーザーを敬遠させかねない。
それらの問題を克服したのが、今回の新型リーフとも言えそうだ。




残る問題はバッテリーの劣化だろうか。
スマホで分かる通り、バッテリーというものは結構劣化する消耗品に過ぎない。
EVのコストはそのバッテリーの占める割合が最大であり、航続距離の源泉でもあるだけに問題は深刻だ。
中古の旧型リーフはバッテリーの劣化が問題で下取り価格の低下が騒がれている。
旧型では5年か10万キロのどちらか早い方でバッテリー容量が75%を割り込んだら無償修理とかあったものの、車は10年くらいは使うものなので5年保証ではおっつかない。


新型で劣化問題がどの程度解消されているのかは今後の動向を待たなければ分からないが、特性の問題なので完全な解消は難しいし、解消されたならスマホでもニュースになっているはずなのだがそんな話も聞かない。
仮に10年乗って7割まで劣化すると、実燃費ベースで200kmまで航続距離は低下していることになってしまう。
こうした覚悟はまだいるのかもしれない。
急速充電や頻繁な充電による劣化問題も気になるところだ。


(追記: 新型のページを見ると今は8年もしくは16万キロまで延長されているものの、「9目盛以上への復帰」なので完全復活までは約束してないのと、300万円台の比較的高価な車の価値が普通車以上に目減りしていくという傾向にはやはり注意が必要だろうか。
7年目の車検までに新車へ買い替えるよう誘導して日産が下取りすれば、ユーザーは劣化をあまり気にしなくていいし、日産もハズレ個体や劣化が悪化する前のタイミングでバッテリーを回収できて評判を維持でき、中古や下取りの価格を維持できて好循環につながるという判断かもしれない。)



これらの不安の根本的な解消には、交換用バッテリーの安価な提供が欠かせない。
生産コストの低減や、使用済み車載バッテリーの住宅用などへのリユースサイクルをより確実にするとか、引き続き工夫が必要だろう。
劣化問題への対応は下手すると日産のみならずEV自体のイメージを悪化させてしまいかねず、新型がヒットするとその影響も大きくなるという二律背反の懸念が残る。




リーフだけではなくEV自体が抱える社会的な懸念もある。
旧型のリーフでも一般家庭の2日分のバッテリー容量だったのが、新型では3日分以上になっている。
EVが普及し、それが日中に一斉に40分とかで急速充電されると電力網がパンクしかねない。
パンクしないまでも、跳ね上がるピーク電力に対応するために更なる発電所や送電網を増強することは電力コストに跳ね返る。
これはEVが普及するほど問題になってくる。


原発が順調に再稼働し、安価な夜間電力が潤沢に提供できるようになれば夜間の普通充電に誘導できるのだが、新型を外での急速充電前提でマンションに住む人が買いだすとそれもうまくいかない。
既存のマンション設備を改修すれば夜間充電が可能になるものの、EV購入者という特定少数のためのコストを誰が負担するかで管理組合が揉めそうだ。


充電ステーションの争奪戦も懸念される。
トヨタが注力するプリウスPHVが売れてくると、プラグインハイブリッドとEVとの仁義なきステーション争いが現実のものとなり、血で血を洗う抗争へと発展しかねない。


ガソリンの税収が減るのを電力への課税で補えるのかも問題だ。




新型リーフが普通に売れてくると、結果的に試験販売に留まった旧型と違い、それらの問題が一気に表面化しかねない。
日産の製造責任のみならず、社会全体としてどのようにEVと向き合うかがいよいよ試されることになる。
まずは普及を優先するにしても、そのうち昼間の急速充電料金が跳ね上がる、などということもありうるのかもしれない。



 
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