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2019-04

見せてもらおうか、トヨタのEVの性能とやらを

量産型普及価格EVとして誕生した日産リーフは、そのただでさえ短い航続距離がバッテリーの劣化で更に短くなるという問題に悩まされてきた。
急速充電による頻繁な充電は特にバッテリーによろしくなく、その寿命を縮めることになる。
かくして初代リーフはその圧倒的な未来感で、市場を埋め尽くすエンジン車の群れをなぎ払うはずがうまくいかずに当初の販売目標を大幅に下回って自壊していく。


「腐ってやがる。早過ぎたんだ」


『劣化の7年間』でユーザーの信頼と中古車市場を崩壊させた?初代リーフだったが、新型は大幅に伸びた航続距離で相対的にその問題が緩和されそう。
更にバッテリー搭載量を1.5倍にしたモデルも追加されるそうなので、そうすれば急速充電の負荷もより拡散・軽減できるかもしれない。




さて、そんな新型リーフを電力消費率の面から見ると120Wh/kmになっているので、1kWhで走れる距離は約8.33kmだろうか。
同じく新型になったプリウスPHVだと10.54kmになっている。
車重はほとんど変わらないというかリーフの方が少し軽い(40kg)のに、燃費に当たる電費ではプリウスの方が26%ほども良いことになる。
これほど差があるのは一体なぜだろうか。


1つにはパワーの差があるかもしれない。
リーフは電力の流し方を改善して150馬力・トルク32.6kgにパワーアップしたモーターを搭載しているが、プリウスは72馬力・トルク16.6kgと31馬力・4.1kgという低パワーなものになっている。
リーフの方が1.5倍は強力なモーターを積んでいることになるので、それだけ電力を消費しそうな気がしないでもない。


ただ、プリウスはモーター2つな上にエンジンとの動力分割機構があるなど、1つのモーターしかないリーフより機械損失が大きそうだ。
それに、熱損失や機械損失の割合が大きくて大排気量だとそれだけ燃費が悪化しがちなエンジンと違い、単純な構造ゆえに損失が少なく出力調整も容易なモーターだと、ハイパワー化してもエンジンほど燃費が悪化しない気もする。
現にリーフのモーター自体は先代と同じ物である。
そう考えるとむしろプリウスの方が電費的に不利な感じもしてくる。


にもかかわらずプリウスの方が26%も電費が良いというのは、パワー半導体の性能の差かもしれない。
電力を交流から直流や昇圧・降圧したりするのに使うパワー半導体は、電気機器の効率を左右する。
窒化ガリウムや炭化ケイ素など、電力損失の少ない新世代のパワー半導体にしたら日本全体で原発数基分の電力が浮くという試算もあるくらい重要なパーツである。
旧世紀の時代からハイブリッド車を販売してその効率を追求してきたトヨタであれば、日産に対して1日の長どころか10年分の長があったとしても不思議ではない。
現に現行プリウスが出た際にも、パワー半導体の性能向上が話題になっていた。


モーターにしても、騒動になったレアアースの使い方だけでなく磁石の配置やコイルの巻き方など、ハイパワーかつ高温になる自動車用モーターは従来の家電用モーターとは違うノウハウが要求されそうだ。
そのあたりの蓄積がプリウスPHVの低燃費を支えているのではないだろうか。




EVに出遅れていると言われるトヨタなのだが、その性能を左右する重要な技術は全てハイブリッドにあるといっても過言ではないのかもしれない。
消極的に見えるリチウムイオンバッテリーの採用についても、世界的なメーカーだけに大規模展開には慎重にならざるを得ない。
現に、リチウムイオンバッテリーにはコストだけではなく、劣化や発火などの問題が常につきまとってきた。
車のはるか前から採用している携帯電話でさえ、つい最近、大手メーカーが大規模な発火事件を起こしたのは記憶に新しい。
EVでも日産が劣化で苦労しているし、コストではいまだに補助金頼みでもある。


ようするに、EVはまだ人類には早過ぎる巨神兵だったといえる。
その炎が地球上を覆うには、まだ数年から10年以上の歳月が必要だろう。
それにたとえEVが実用的になっても、発電が旧式の石炭火力ではハイブリッドの方が低炭素というパラドックが途上国では生じる。
先進国でも、一般家庭の数日分の電力を短時間で飲み込むEVへの急激なシフトは電力網の需給バランスを崩壊させて大停電を引き起こしかねない。




トヨタにEVの優れた技術があることはプリウスPHVから十分に感じられる。
トヨタはやればできる子であり、まだ本気を出していないだけなのだ。


明日から本気出すとばかりにEV市場に乗り出すことを最近発表したが、実はそれもフリかもしれない。
急速充電などによるバッテリーの劣化から車の資産価値の急落を防ぐには、全固体電池などの技術的ブレイクスルーが必要に思える。
それに拙速なEVシフトは、劣化・補助金・停電・希少金属確保・税制など様々な社会問題を一気に噴出させる。
リーディングカンパニーとして大きな社会的責任を背負うトヨタとしては、EVシフトは慎重に時期を図らざるを得ない。


現状では、日常使用に必要十分なバッテリーを搭載したプリウスPHVこそが現実的なEVであるとトヨタは考えているのだろうし、それは劣化やコストや航続距離などの技術的限界を踏まえた最適解のように思える。
ハイブリッド技術で完全に出遅れ、挑戦者として多少の無茶は許される日産との立場の違いがそこにはある。
ただ、劣化を促進する上にPHVなのでなくてもあまり困らない急速充電だけはプリウスPHVに不要な気がする。
そこだけは日産への対抗意識とユーザーアピール優先で節を曲げた感じがする。




ともかく、時が満ちるまでトヨタの雌伏は続く。
EV社会がすぐにも来るような幻想をよそに、トヨタはハイブリッド車のまどろみの中でバッテリーとモーターとパワー半導体技術を虎視眈々と磨き続ける。
やがて幻想が落胆に変わり、人々が忘却のかなたにその存在を押いやろうとした時、トヨタの目は開かれて世界はトヨタ製のEVが幸せのうちに統治することになるだろう。
(注:ノストラダムスの大予言的な意味で!)


え、燃料電池車は?



 
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