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2019-04

4WDの燃費が大幅に向上?

トヨタが4WD車を低燃費な2WDモードで走らせた時のエネルギーロスを大幅カットする技術を発表していた。

『前後輪の車輪軸に世界初の「ラチェット式ドグクラッチ」を備えることで、2WD走行時には、後輪に動力を伝達させる駆動系の回転を停止させて損失を大幅に低減し、燃費向上をはかる「ディスコネクト機構」を採用』

だそうで、要はミニ四駆の前後のドライブシャフトに通された円盤状のギヤを少しスライドさせて噛み合わせを前後2つとも外すことによって、プロペラシャフトそのものを無回転にしてしまう技術らしい。
従来の一般的な2WDモードでは長く重いプロペラシャフトをエンジンで引きずり回し、リヤデフの直前に置かれた多板クラッチのところで後輪へのトルク伝達をカットしている。
ところがトヨタの新方式は、そのプロペラシャフトを無回転にすることで駆動ロスをなんと80%もカットするという。
これなら4WDは燃費が悪いという評判を吹き飛ばせそう。




しかしドグクラッチはクラッチとは言いつつもギヤをガッチョンと直接噛み合わせるだけなイメージがある。
そのため回転がある程度あってないと入らないとか変速ショックが大きいとか聞くし、無理にギヤを繋ぐと歯が欠けそうだけれども、プロペラシャフトが無回転だと4WDに切り替える時にその辺はどうなるんだろうか。
もし停車中や低速時のみ切り替え可能ならジープとか本格クロカンのパートタイム式とあまり変わらず、街中を走っている時に突然スリップしてもとっさに四駆になってくれる既存の4WDの方がSUVとしては使い勝手がいいということになる。


トヨタの簡単な発表資料(これ)を見ていると後輪の左右トルクベクタリングとセットの技術なようで、図を見ると後ろのドライブシャフトの左右に何か四角いボックスが書かれており、そこでトルクの制御が行えるらしい。
ということは後輪の左右に電子制御カップリングな多板クラッチでも設けているのだろう。
これなら後ろのドグクラッチを締結した状態で後輪の左右のクラッチを繋いでいけば、後輪タイヤの空転が徐々にプロペラシャフトにも伝わっていく。
プロペラシャフトを車速まで空転させた上でエンジントルクを一瞬絞ったりした瞬間にフロントのドグクラッチを接続すれば、回転差もトルク差もあまり無くスムーズにドグクラッチが接続されて四駆になるということなのだろうか。


これで速度のある走行中でも四駆になりそうなのだが、後輪の左右のクラッチを繋いで無回転だったプロペラシャフトを増速した上でフロントのドグクラッチを接続するという面倒なステップを踏むことになるので、今時の4WDのような瞬時の切り替えができそうにはない。
その辺はアクティブ電子制御で気温・ワイパー・速度・舵角・微小スリップとかのデータをリアルタイムに分析して、予防的またはスリップ初期段階から積極的に四駆に切り替えていくことでその反応の遅れをカバーするのかもしれない。


センターデフや多板クラッチがプロペラシャフトのところにないと前後の回転差を吸収できずにタイトコーナーブレーキング現象でカーブを曲がりにくくなることについては、後輪左右のクラッチでトルクベクタリングのついでに解消できる。


前後のラチェット式ドグクラッチに後輪左右の電子制御カップリング?が追加になるとコスト的にはどうなんだろうか。
前のトランスファーに後ろの電子制御カップリングの代わりが前後のラチェット式ドグクラッチだとしても、リヤデフが後輪の2つの電子制御カップリングに置き換わるとやはりコストアップ要因。
後輪で左右のトルクベクタリングが可能になることもあって、たぶん高性能車向けのシステムなのだろう。




今回のシステムを見ていて思ったのは、簡単に2WD時の燃費を上げる方法として、ビスカスなり電子制御カップリングな多板クラッチなりをプロペラシャフト後端のリヤデフ直前に置くのではなく、プロペラシャフト前端のフロントにおけばいいのではなかろうか。
そうすれば2WD時にプロペラシャフトをエンジンが引きずり回さなくてよくなる。
後輪を駆動させず空転させるだけで燃費が向上するわけだから、長く重いプロペラシャフトを空転させておけるならエンジンパワーが余分なところへ逃げずに燃費が向上しそう。
プロペラシャフトを無回転にすることには当然かなわないものの、それでも空転するシャフトの長さがざっくり2倍くらいにはなるのでそれなりに効果的か。


本格クロカンはフロントのミッション部分にセンターデフとかがあるのだが、燃費重視な普通の車やライトSUVがこぞってリヤにカップリングを置くのはなぜだろうか。
今のところカップリングをフロントに持ってきているのはスバルくらいしか思いつかず、そのスバルも4WDへのこだわりがあってプロペラシャフトを切り離してFFにするような使い方はしていない。
前置きだと、カップリングへの負担がプロペラシャフトを回転させる分まで余計に加わるのでカップリングを大容量にするのにコストがいるとか、前席の足下が膨らんで左右ウォークスルーの邪魔になってFFとのシャシーの作り分けが面倒とか。
その上燃費の向上幅がそこまで大きくはなかったりすれば、低コストで邪魔にならないリヤデフ前がやっぱり無難ということなのかもしれない。




トヨタのラチェット式ドグクラッチについては、通常の電子制御カップリングに前だけラチェット式ドグクラッチを追加すれば低コストなものになりそう。
その方式でもフロントのドグクラッチとリヤデフ手前のカップリングで切り離せばプロペラシャフトは無回転になるはず。
リヤデフは空転するものの、プロペラシャフトを無回転にできれば効果は大きい。
四駆にする時はまずカップリングの多板クラッチを繋いでプロペラシャフトを空転させてからフロントのドグクラッチを繋ぐことになる。


この方がカップリングとかの数も少ないし、何より既に大量生産されている標準的なシステムなのでかなり低コストだと思う。
後輪の左右トルクベクタリングは当然できなくなるものの、通常モデルならそこまでの性能は必要ない。
トヨタはまずは高性能版をセンセーショナルに登場させ、その後で普及モデルとして登場させるつもりなのかもしれない。
ちなみにスリップで勝手に繋がるビスカスだと切り離し制御が任意にはできないので、電子制御である必要がありそう。




ただ、後輪の方のラチェット式ドグクラッチは左右の電子制御カップリングがあれば不要そうに思えるものの、一体どういう場合に役立つのだろうか。
電子制御カップリング内の多板クラッチは、接続をオフにしていても特に低温時などはオイル粘性が増して引きずり回るとも聞く。
そうするとプロペラシャフトにわずかながら回転が伝わってそこでロスが生じるため、トルクの伝達を完全に断つためにラチェット式ドグクラッチが後ろにも必要なのかもしれない。


だとすれば従来のリヤデフと電子制御カップリングに、フロントにだけラチェット式ドグクラッチを追加してもプロペラシャフトは無回転にならないのだろうか。
それでも通常の季節ならオイル粘性も低下するだろうし、オイルという流体越しならプロペラシャフトへの後輪の空転の伝達もかなり低下する気がする。
少なくともフロントのエンジントルクからは完全に切り離されているし、リヤの電子制御カップリングとの接続もオイル越しであればプロペラシャフトは半ば浮いた状態なので、エネルギーロスは従来より大幅減か。


ともあれ、「プロペラシャフトが引きずり抵抗になるなら無回転にすればいいじゃない」というマリーアントワネットばりのトヨタの発想には驚いた。
コストを度外視すればもちろんできるだろうけど、シンプル低コスト?なドグクラッチを使ってそれを実売レベルにもっていこうというのがスゴイ。


4WDの燃費が向上すれば、SUVなのに2WDモデルが売れ筋という状況にも一石を投じそう。
4WDの方がやはり不意の大雪や路面凍結にも強いし、燃費というネガが無くなればメーカーとしても4WDで販売単価の向上が見込める。
最低地上高が15.5cmと普通車並みしかなく4WDなのにSUVとしては微妙なC-HRに搭載すれば、ダウンサイジングターボとはいえアイドリングストップすらなく15.4kmと冴えない燃費も改善されて、2WDで30.2kmなハイブリッドに一矢報いるか。


うんまあ、まずは最低地上高を18cmくらいまで上げてアイドリングストップを搭載するのが先だよね、と言いたいだけかもしれない…。



 
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コメント

本末転倒

仰る通り、いざ繋ぐ時に遅れが出そうな、本末転倒な愚策ですね。

ただ燃費アピールをしたいだけで、使う人の事は何一つ考えていない証左になるかと。

似た様なコンセプトに、ノートの“エコスーパーチャージャー”が有ると感じました。

エンジン動力を無駄に喰われ、微塵もエコではないスーパーチャージャー。

しかも唯一の取り柄である、ターボが効くより低回転から領域では廻らず。

急加速が必要な場面でだけ使い、「走行の大部分では使わないからエコ」と言いたいらしいんですよ。

本来は、小径ターボが廻っている時に一番燃費が良くなるべき物なのに。

大手程欺瞞臭い事しかしないんですよね……


個人的にFFベースの4WDというのが全て駄目だと思います。
本格派を自称するスバルやアウディも。
前後重量バランスで劣るから。

4WD前提で車体中心をドライブシャフトが縦断してるんだから、パジェロやエスクード,GT-RみたいにFRベースの4WDにすれば良いと思いますね。

前輪側へ戻す経路は短いだろうから(GT-R以外は)、FFベースで後ろに向かうシャフトを空回りさせるよりは目立たなくはないですかね?

Re: 本末転倒

応答遅れについては最新のアクティブ電子制御があればカバーできるかなと。
気温とかのデータから事前に四駆にするか、シャフトを空転させてスタンバイしておけばすぐに四駆になるので。
四駆が不要な大部分の状況で大幅な燃費向上になる画期的な技術だと思って書いたものの、余計な考察が意図を分かりにくくさせてしまったようで反省。


ノートのスーパーチャージャーには苦笑。
普通にターボでいいと思うけど、昔のターボのイメージを嫌ったのかコストカットしたかっただけなのか。


FRベースの4WDだと今やスカイラインとかの大型高級車しか基本無理ですからねえ。
WRXやランエボの世界的活躍を見ると、ターボ・フルタイム4WD・トルクベクタリングなどの技術が大衆FFベースという不利を埋めてきたのかもしれません。

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