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2019-04

アイミーブのマイチェンに秘められた意図

三菱のEV、アイミーブがマイナーチェンジした。
歩行者衝突安全のために前後のバンパーの形状などが見直され、フォグランプが標準装備され、急速充電の時間が長引く際のお知らせ機能などが追加されたという。
バンパー形状の見直しで全長は8cmほど大きくなり、軽ではなくて普通車扱いになっている。


最大の変更は価格だろうか。
販売開始から既に9年となり、原型になった軽から数えればもはや12年が経過して車体の減価償却はとうにすんでいる。
バッテリーやモーターの低価格化もどんどん進んでいるし、EVを推進する日産の子会社にもなった。
そうした様々な状況変化のせいか、新型は32万円も価格を見直してきた。
従来型が263万円だったところを新型はなんと、295万円なのである!




あれ、おかしいな?
そう思って何度も見直してみたけれど、これは価格の取り違えではない。
どうしてか価格が32万円もアップしている。
ちなみに性能に特に変化はない。
それなのになぜこうなったのだろうか。


バッテリー容量は16kWhのままで、これは新型リーフの40kWhの半分以下。
航続距離も164kmで、当然リーフの400kmに遠く及ばない。
モーターは64馬力16.3kgで軽規格だった割には力強いものの、リーフは150馬力32.6kgでやはり半分程度。
元が軽なアイミーブは4人乗りで、リーフは5人乗り。
それでいてリーフは315万円からなので、多少の装備の差はあれどEVでとても重要な基本スペックで圧倒するリーフと20万円しか差が無いのはどうにも納得しがたい。


歩行者衝突安全でバンパーを作り直すのにそんなにコストがかかったのだろうか。
でもそれくらいはマイナーチェンジの常套手段の範囲内だし、フォグランプにお知らせ機能の追加程度でそこまでコストが掛かるとは思えない。
とうにフルモデルチェンジすべき古いモデルが、バッテリーやモーターの低コスト化の流れにも逆らい、あえて32万円も値上げをすべき要素がどこにあったのか少し謎だ。




それとも、税金が普通車扱いになれば価格も普通車でいけると思ったのだろうか。
でも性能は軽の時のままなので、さすがにユーザーもそのことに気付きそう。
せめて軽の自主規制である64馬力の封印くらいは制御ソフトの修正で見直せばいいのに、プログラムをいじったり耐久試験とかにコストが掛かるのが嫌なのかそれにも手を付けてない。
性能据え置きでお値段大幅アップは逆な気もする。


そんなアイミーブに存在意義を見出すとすれば、新型リーフの援護射撃か。
新型リーフは検査偽装でスタートダッシュに水を差した。
そんなリーフのお買い得感を増すために、あえてアイミーブの価格を高く設定したとすれば納得できる。
どうせモデル末期どころかとうに終わっていておかしくない車であれば、遠慮なく使いつぶせるというものだろう。
ましてやそれが日産子会社の三菱のものであれば、玉砕覚悟の特攻だろうと何の痛痒も感じない。


つまりアイミーブは、満足な性能向上も果たせぬまま旧式となり、最後には爆弾を抱えて敵艦に突っ込むしかなかった三菱のゼロ戦なのである。
そして低性能なままの旧式機がそんなことをしても、大した戦果をあげられず戦局にさほど寄与しないだろうことまでそっくりなのかもしれない。




EV初の量産機として華々しく誕生したアイミーブのそんな姿は正直見たくない。
同じ最後なら欺瞞作戦にではなく、ユーザーを支援する作戦に従事して最後を迎えて欲しかった。
具体的には、200万円EVである。


リーフはファーストカーとして普通車をも撃墜できるように、大容量バッテリーに強力モーターという装備でかためた重戦といえる。
一方のアイミーブは、軽規格でもありシティーコミューターとしての運用を主眼に置いた、都市の中を軽快に飛び回る軽戦だ。
その本質を突き詰め、装備を徹底してはぎ取れば復活の余地はあった気がする。


山岳装備のフォグランプなどいらないし、LEDヘッドライトもリーフの廉価グレードと同じハロゲンでいい。
本革巻のハンドルやシフトノブも不要で、ツイーターもいらない。
モーターパワーは既にハイブリッドカーなプリウスにも追い抜かれているし、バッテリーはリーフが1.6倍の容量を搭載できるほどここ数年で値下がりした。
そうれにもうすぐ10年の末期モデルである。
いっそ急速充電も省いてしまえば、200万円を達成できたのではなかろうか。
それでも長距離進出を前提とせず、夜間に自宅で充電して近距離で使うという事前想定どおりの運用ならさほど困らないはずだし、普通充電の方がとぼしいバッテリーの劣化も抑えられる。




ほぼ軽なモデル末期のEVが295万円というのはやはり難しい気がしないでもない。
航続距離が短くて高速の利用も難しいし、狭くて4人しか乗れない。
同じ価格でプリウスが買え、もう20万円出せば新型リーフも買えてしまう。


ゼロ戦は1500馬力の金星エンジンを搭載し、20mm機銃2門のみにして重量増を最低限に抑えればまだ戦えたと、設計者の堀越二郎さんが著書で言っていたような気が確かする。
アイミーブも、64馬力の封印を解き、装備を最低限にしぼって価格競争力を取り戻せばまだ戦えた可能性がある。
判断の遅れや戦局の悪化でどちらも思うに任せなかったわけなのだが、せめてアイミーブには一矢報いて欲しい。
ベテラン販売員の卓越したセールス技術による奮戦を期待したいものの、幾度もの不祥事で戦局は悪化し、競争力まで大幅低下してはやはり復活は厳しいか。


それとも、後継機となる烈風の実戦配備がすぐそこまで迫っており、そのための陽動作戦なのだろうか。
もし次期アイミーブが本格的な世界販売を見据えて軽サイズから少し大きくなり、価格も多少の値上げを予定しているなら、初代アイミーブの最終型がこのような姿で登場してしまったことも意味を持つ。
もはや軽規格にはならないことを事前アナウンスし、次期型の値上げ感を打ち消すための大幅値上げだとすれば、布石としての捨て石になりうる。


原型生産から12年が経過した老兵を生産終了とせず、あえて末期モデル得意のお買い得グレードすら捨て去った、小沢艦隊のごとき決死の陽動作戦の意図は奈辺にありや。
三菱の主力艦隊によるレイテ湾突入が待たれるところである。


まあ、既に反転離脱してたりするとこのまま終戦するかもだけど…。



 
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