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2019-01

クラリティPHEVに込められたホンダの意志

ホンダが突然?プラグインハイブリッドなクラリティPHEVを日本で発売。
全長491cm全幅187cmのセダンというのはなかなかにアメリカンで、価格も588万円と豪快。
先行するアウトランダーPHEVやプリウスPHVに比べると200万円くらい高い。
サイズと価格だけを見ると、日本でヒットするのは難しい気がしないでもない。


システム的には105馬力な1.5リッターエンジン搭載の2モーターなシリーズハイブリッドが基本で、高速走行時はクラッチで直結してエンジン走行するという高効率なシステム。
走行用モーターのパワーは184馬力・トルク32.1kgで、ステップワゴンとかと同じになっている。


だけどエンジンはステップワゴンの方が145馬力な2リッターとかなり強力だったりもする。
重量は両車とも似たようなものなので、エンジンでの高速走行を考えるとクラリティの方が肝心の馬力で3割近くも貧弱なのは高級セダンとして少し微妙かもしれない。




そんなクラリティなのだが、スゴイのは厳しいWLTCモードでも101kmものEV走行ができること。
これはアウトランダーやプリウスの2倍近い走行距離。
これなら北米大陸での普段使いや、殺人トレーラーにギャングがたむろって?何かと物騒なガソリンスタンドをなるべく使用したくないというアメリカのニーズを満たせる。
そんなEV航続距離を実現したのは床下にバッテリーパックを敷き詰めたパッケージングで、クラリティには専用EVがあるからこそ実現できたスペックだろうか。


ただ、クラリティPHEVの弱みもそこには同時に存在している。
アメリカを指向したためか、全長はともかく全幅はクラウンが日本での運用限界と定めた180cmを大きく超える187.5cm。
EV走行距離も島国な日本では50km程度で必要十分とされている中で、大陸運用を考えた倍の100kmは立派なものの、かわりにミニバン並の重さと588万円という高価格に。
大きさで持て余し、ステップワゴンにある意味で劣る動力性能なのに600万円近い高級車というのは、日本のユーザーにはなかなか理解されない気がしないもでない。
そこは以前のアコードPHVのように、せめて価格だけでも500万円くらいにならなかったものだろうか。




アコードハイブリッドが400万円前後だったので、バッテリーのやや過剰な大増量に100万円としても500万円。
それが588万円というのは、クラリティはレクサスやアキュラに似た高級ブランドだということか。
ただアメリカでは380万円からの価格で売られているみたいなので、豪華装備版としてもやはり500万円までが限界な気がしないでもない。


日本仕様が200万円も高いのはアメリカからの輸送費や、25%の報復関税合戦が始まることをかなりフライング気味に織り込んでいるのかと思いきや、実は狭山工場での生産だという。
そうするとなおさら説明が難しくなるこの価格差を、ホンダはどう考えているのだろうか。


アメリカでは厳しい環境規制による罰金を免れるために利益は度外視で環境車の販売ノルマを達成し、代わりに日本でがっぽり儲けるのだとしたら、日本のユーザーを無視した内部理論に思える。
それにしたって関税も輸送費も浮くのに逆に1.5倍も値上げしてしまうのはさすがにやり過ぎで、日本ではさほど売れずにあまり利益が出そうにない。
最近ではマスコミを抑えたとしてもすぐにネットが炎上して販売中止になりかねない御時世なので、このままだと立ち上げ間もないクラリティのブランドイメージが高級でクリーンどころか、割高の象徴となって傷付きかねない。
というか雑誌ベストカーにも唯一残念なのは北米と違う不可解な価格戦略と書かれるあたり、主要なマスコミすら抑えられておらずこれは既によほどの事態か。


いずれにせよ大型でPHEVという特殊性からホンダも数が売れる車ではないと思っているだろうが、あまりにアメリカ向けな仕様と激烈な価格差は、日本での利益に期待しているどころかあまり売れては困るみたいにも見える。
もはや初代インサイトのように、ホンダもプラグインハイブリッドを一般販売して環境対応に積極的だというアピールと、100km超のEV距離という技術的なデモンストレーションに、クラリティの上級ブランドイメージの構築が日本市場投入の主目的で、量販は考慮外に思えなくもない。




クラリティPHEVのテレビCMを見ているとホンダは2030年までに車の電動化を大幅に進めるそうで、「これは車の形をしたホンダの意志だ」と言っている。
ただ、その意志を体現した車が日本ではちょっと持て余す大型車で、価格がアメリカより200万円も高いというのは少し微妙だろうか。
ともすれば日本市場軽視や、日本のみのプレミア価格を今後は推進していくという宣言にも受け取られかねない。


クラリティPHEVは100km超のEV航続距離でEV的に使いやすく、ハイブリッドなのでリーフのような電欠の心配も無く、週末だけのずぼらな充電でもプリウスPHVなどよりずっとEVとして使えるなど、独自の機能性と利便性を兼ね備えた面白い存在になっている。
アメリカで380万円からなら、2.5%関税と輸送費の不要な日本で360万円から売り出せば、リーフとプリウスPHVとついでにカムリハイブリッドをまとめて圧倒できたかもしれない。
それこそホンダは車の電動化を強力に推進するという意志表示になった気がする。


まあホンダもクラリティはアメリカのZEV規制対応が主目的で、日本市場を本気で攻略しようとは考えていないはず。
日本への本命はより小型のインサイトPHEVとかだと思うものの、象徴的に扱われるクラリティPHEVの価格を見ると少し不安になってくる。
いやその時こそは、CVCCエンジンでマスキー法をクリアして全世界の度肝を抜いたシビックのような、抜群の環境性能と「市民の」と言える価格を兼ね備えた「ホンダの意志」が、この日本市場でも表明されるに違いない。



 
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