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2019-04

ジムニー成功の秘訣?

新型ジムニーが大きな話題になっている。
納車はなんと1年待ちとか、いやもはや目途が立たないとか。
ただ、エンジンやミッションにラダーフレームといったシステム面にも燃費にも特に大きな変更は無い。
あえて言えば自動ブレーキや義務化される横滑り防止装置転用のブレーキLSDの搭載なのだが、それならハスラーも備えていて今時当たり前の装備ともいえる。
ではなぜこんなに話題になっているのかと言えば、20年振りのフルモデルチェンジという希少性もさることながら、やはりそのデザインではなかろうか。


丸型ライトに角ばった武骨なボディはジープやベンツのGクラスを彷彿とさせ、今の少し浮ついたSUVブームとは一線を画す本物感を漂わせる。
世界最高レベルな悪路走破性の持つ凄みをよく表現している。
これこそまさにプロの道具といったたたずまいで、このまま自衛隊が使って何の違和感もない。
その新型に比べると、先代のワゴンRを意識したようなデザインテイストは少し頼りなくてファニーにさえ見えてくる。


昨今のSUVブームはモノコックボディなのは当たり前として、4WDどころかFFが主力だったり、最低地上高が普通車とほとんど変わらなかったりしてただのファッションになってしまった感がある。
90年代のクロカンブームの方がパリダカモデルが出たり、キャンプやスキーに実際に出かけたりで中身が伴っていたともいえる。
なんだか本質を見失って漂流しつつある気もするSUVブームの中で、この新型ジムニーは究極のオフロード性能を見る者に強烈に訴えかける。
忘れていた原点を思い出させる。
これが本物のオフロード車なのだと。


てな感じに、究極の性能を上手く表現した新型ジムニーのデザインこそが、多くの人々の心を震わせて話題になっているのではなかろうか。
ジープやGクラスをまねたからだという指摘もあろうかと思うものの、悪路での機能性と戦時急造に耐える生産性に、最前線での優れた整備性や修繕性などに裏打ちされた工業デザインはもはや1つの様式美と言え、その作法に沿った昔のジムニーに立ち戻っただけで今更とも言える。




そんな新型ジムニーなのだが、早くも5ドア仕様が待望されている。
軽規格でエンジン縦置きなジムニーの室内はどうしても狭くなり、特に後席にしわ寄せが来る。
3ドアでそんな後席へのアクセスも悪く、荷室は軽で最初からミニマムであるなど、家族での普段使いには何かと辛いものがあるのも確か。
それなら1.5リッターでワイドフェンダーなジムニーシエラのボディをストレッチして後席ドアを設ければ、エマージェンシー的な後席の狭さや使いにくさが解消されて便利というわけである。


ただ、そううまくいくだろうか。
もしかすると、ジムニーの長所を消して短所が目立つ結果に終わるかもしれない。


ロングホイールベース化すると腹をすりやすくなり、重量増も肝心の悪路走破性を低下させる。
大型化とドアの追加は大掛かりなシャシー改造もあいまって、200万円程度なシエラから更に30万円くらい価格アップしそうで安価ではなくなる。
そうすると価格も維持費も完全に軽でなくなるのに、エンジンルームや室内の横幅は変わらないから4速ATのままだし、いざという時の最大定員も4人から変わらない。
それにラダーフレームに前後リジッドアクスルという硬派な構成は、乗り心地で不利な後席に人を長時間乗せることに少々ためらいを覚えなくもない。
そんな車を大きな開発コストと生産性の低下をしのんでわざわざ派生させても、そこまで需要があるかといえばちょっと首をかしげざるを得ない。


結局のところ、ジムニーは小さいからこそいいのではなかろうか。
それを無理に大きくすると最大の長所である性能や経済性が損なわれた上、そこまでした後席があまり長時間使いたいものではないことが露呈しかねない。
もし多人数で荷物も積んで長時間移動したりすることがあるなら、それはできれば別の車にした方が無難といえる。
そしてその別の車こそが、230万円程度で去年まで併売されていた先代エスクードだったりする。




現行のエスクードはエンジン横置きなFFベースのよくあるSUVになってしまったが、今でも新興国で販売されている先代までのエスクードはSUVではなく確かにクロカンだった。
途中でモノコックボディやリアサスが独立懸架になるなど徐々にオンロード重視に変遷していったとはいえ、それでも先代はビルトインラダーフレームに副変速機やセンターデフを備えた本格的なフルタイム4WDで、高い悪路走破性を維持していた。
それはまるで、ジムニーを家族4人でのロングドライブにも使えるようにしたらこうなるとでも言うようなバランスに思える。
センターデフ式のフルタイム4WDなので、オンロードの走行性能ではパートタイム式なジムニーより有利でもあった。


それなのにどうして、「諸君らが愛してくれたエスクードは死んだ! なぜだ!?」 な状態になってしまったのか。
「軟派なデザインだからさ」 のような気がする。


30年前に初代が登場した当時はライトクロカンとして乗用車寄りの性能とデザインがヒットしたのであるが、それはあくまでジムニーやランクル70系などの本格的過ぎるクロカンと比較してのものだった。
それがいつしかほとんど乗用車なSUVが街中にあふれるようになり、エスクードは逆に本格的な機構を引きずったちょっと泥臭い存在になってしまう。
だけどデザインが昔のままの都会的なスタイリッシュ路線だと、最近のFFモノコックなSUVと同列に見られてしまい、ライフサイクルの長さや燃費の悪さばかり注目されて売れないことに。


時代が変わりSUVが氾濫する中でエスクードが生き残るには、高い悪路走破性を前面に押し出した武骨なデザインこそがむしろ必要とされていたのではなかろうか。
もし新型ジムニーの5ドア版とでも言えるデザインだったら、機能を強烈に主張して根強い人気を獲得できた気がする。
それはもはや初代の志とは真逆な気もするものの、オンもオフも高度にこなせる小型クロカンという立ち位置に変わりはないとも言える。


ミッションは軽のジムニーには難しい6速ATに換装し、FFエスクードのように単純なアイドリングストップを採用すれば最低限の燃費は確保できるだろう。
リアサスだけはあえて昔のリジッドアクスルに戻して悪路走破性を引き上げると、オンロードの快適性にやや寄り過ぎたバランスが修正されてその特徴が際立つことに。
そんなエスクードをグランドジムニーと名付けて販売すれば、ジムニーとの相乗効果はもちろん、300万円以下の普通車で唯一の本格クロカンとしてその存在を誇示できる。




新型ジムニーの意外なヒットが5ドア版といった派生車の待望論に繋がるものの、ただストレッチしただけでは中途半端なものに終わりかねない。
そして無理にそんなことをしなくても、後席も使える小型クロカンという車は既にスズキに存在する。
エスクードが現代風なFFモノコックSUVに代替わりした今こそ、先代エスクードをジムニーの5ドア版としてフルモデルチェンジするチャンスといえる。
そうすれば、ジープがチェロキー・ラングラー・コンパス・レネゲードなどとファミリー化してブランド資源をうまく活用しているように、ジムニーもニッチな人気車からスズキの屋台骨を背負う存在へと飛躍するのではなかろうか。




 
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コメント

一年待ちとは驚きです。

あのスイフトスポーツですら、出た当初8~9ヵ月待ち程度だったというのに。

又、汎用性は0の【悪路特化型車】にそこまでの需要が有ると見抜いていた管理人様にも感心いたしました。
※以前、発売前に評価していた通りでした。

管理人様がおっしゃる通り、私も【中くらいの大きさで万能型】が有れば最高だと以前から思っていました。

三菱でいえばパジェロイオかJr.の大きさですね。

ジムニーよりでかい悪路走行車となるとパジェロやランクルとか、両極端で。

前型エスクードが正に中くらいの万能型だろうに、使いにくいジムニーの方が売れるのが本当に不思議ですね。

普段は自動調整の4WDに、、いざという時の手動デフロックでしたっけ?

小さい方が狭い悪路で有利というだけなのでしょうかね?

Re: タイトルなし

5速AGSとアイストで燃費が改善されればという想定なので、私の評価は外れです。
両車の結果を見てからデザインがその違いの根本原因だと全編で評価したつもりですが、本当に不思議ですか…。
伝わる文章とはなかなか難しいものです。

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