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2019-01

アウトランダーPHEVのエンジン換装

三菱のアウトランダーPHEVが改良された。
エンジンは2リッターから2.4リッターに排気量アップされ、バッテリーは12.0kWhから13.8kWhに15%増量、リヤモーターも12%の出力向上を果たしている。


エンジンが2.4リッターになったことと可変バルタイにより、吸気弁の遅閉じによって圧縮比より膨張比を大きくしてエネルギー効率を向上させるアトキンソンサイクルの使用が可能になったという。
排気量の増大は単純に低回転化が可能なため、摩擦損失の低減もできる。
高速巡行時にエンジン直結で走行する際のパワーも増大する。
今回の排気量アップは、エネルギー効率と走行性能の両方に効いてきそう。


バッテリーの改良はEVモードの航続距離が増大し、使い勝手と燃料コストの回収に寄与する。
リヤモーターの出力向上は、加速や四駆性能に前後トルクベクタリングの拡大で走行性能全般を引き上げる。
他にもショックアブソーバーの容量アップ、ハイビームのLED化、車体剛性のアップ、自動ブレーキの全車標準装備、などなど随所に手が入っている。


5年目でモデルライフもかなり後半とはいえ、非常に大掛かりで真面目な改良といえる。
価格の方は30万円ほどアップしているようなのだが、性能と装備の充実を考えると妥当なのかもしれない。
三菱はまだまだアウトランダーPHEVで勝負する気だ。




それとは逆に、モデル末期で少し残念なマイナーチェンジをした車もある。
基本性能に特に変更は無く、歩行者衝突安全対策でバンパーを作り直したという、ありがちなマイナーチェンジをしただけなのに価格が30万円もアップしてしまった。
フォグランプや本革巻きやツイーターとかの装備を追加しても30万円はちょっと苦しい。
肝心のEV性能が据え置きな上、そこに使われる高価なバッテリーとモーターは性能向上と価格下落で陳腐化が一番激しい部品なことを考えるとなおさらか。
むしろ不要な装備を全てはぎ取り、急速充電すら削除してバッテリーが低容量なタイプを存続させれば、200万円なEVすら可能に思える。
そうすればシティーコミューターなセカンドカーとして、ある意味EVの本懐を成し遂げることになったかもしれない。


それなのにゴテゴテと装備を付けたし、バンパーの妙な?作り直しで軽規格ですら無くして30万円もアップした三菱アイミーブのあり方はちょっと理解が難しい。
そこまでして9年目の老兵を存続させる意味は本当にあったのだろうか。
もし検査偽装でつまづいた新型リーフの引き立て役や、日産が関わる次期アイミーブの普通車化と値上げへの布石のためだとしたら、少し後ろ向きなマイナーチェンジと言える。
いやむしろ、レイテ沖海戦で決死のオトリを引き受けた小沢艦隊や、ここは俺が時間を稼ぐからお前たちは先へ行けと言わんばかりの弁慶の立ち往生的なあっぱれな最後なのか。
オトリに引っかかったり足止めされるのが誰かということにさえ目をつむれば、漢の生き様や散り際の美学が詰まった美談に思えて目頭が熱くなる。




という感じに同じ会社の電動車両で、どちらも直近のマイナーチェンジとは思えない方向性の違いっぷりに少し戸惑う。
ただ、本来ならとっくにフルモデルチェンジすべきアイミーブを半ば捨て駒として使い潰し、5年目でもアウトランダーPHEVが本気のマイナーチェンジをせざるを得ないところに、三菱の苦しい台所事情が垣間見える気がしないでもない。
とはいえ、アウトランダーPHEVの真面目な性能向上はやはり歓迎すべきことだろう。


これでアウトランダーPHEVはあと数年戦える。
プリウスPHVやクラリティPHEVに、やらせはせんのである。
アイミーブとは違うのだよ、アイミーブとは! なマイナーチェンジと言えそうだ。




もう1つ比較事例を上げると、親会社な日産のセレナ・eパワーがある。
セレナ・eパワーのハイブリッドシステムは小型車のノートのものを流用しており、1.2リッターエンジンは型式も排気量も同じになっている。
重量はセレナの方が1.5倍ほど重いことを考えると排気量はむしろ下がっているとも言え、今回のアウトランダーPHEVの改良とは反対だ。
これだとアトキンソンサイクルや低回転化で発電効率をアップすることは難しい。
それどころか燃費に不利な高回転化でセレナに必要な発電力を確保しており、ハイブリッドなのに最近の低燃費化の技術トレンドに背を向けているようにも見える。
いくら3気筒で摩擦損失が少なくても、重いミニバンに積んで軽のようにぶん回して使えば高回転によって摩擦損失が増大するのでそのメリットも生かせない。


本来ならせめて定番の2リッターエンジンに換装したいところだろうか。
そうできなかったのは、国内専売モデルに対するコスト削減圧力という各社共通の悩みが特に日産は深そうなのと、当時はまだ手探りなeパワーに注力する不安があったのかもしれない。
増減させやすいバッテリーモジュールだけはさすがに増量するものの、主要部品は最大限流用し、制御プログラムもなるべく共通化して開発生産コストの極限までの圧縮を可能にする、まさかのエンジン流用には本当に驚いた。
水深が浅く航空機での雷撃は実施不可能と思われた真珠湾で、猛訓練と既存魚雷への安定器の追加で強引に作戦を成し遂げた帝国海軍のようである。
国内モデルへの日産の厳しい制約を、小型車用エンジンのミニバンへの搭載という奇手でかいくぐって成立させた現場の開発陣には、(その努力の方向性の是非はともかくとして)脱帽するしかないのかもしれない。




アウトランダーPHEVはエンジン換装が間に合った。
ライバルが次々と登場して性能向上が求められる中で存在の陳腐化を避けえた。
三菱の零戦が、防弾設備や長砲身で携行弾数の増大した新型20mm機銃の搭載などで重くなっても栄エンジンを使い続け、遂に金星エンジンへの換装が間に合わなかったことと比べると感無量。
願わくばこれでキルレシオが向上して苦しい戦局を打開して欲しいものの、堕ちた三菱のブランド力ではそれも難しいか。
いくら真面目な改良でも、もはやユーザーとの接敵すら困難な現状ではいかんともしがたい。


やはり衝撃の200万円でアイミーブがオトリ艦隊として世間の耳目を存分に集め、ユーザーをディーラーまで釣り出すべきではなかっただろうか。
その混乱に乗じて改良したアウトランダーPHEVを湾内に突入させれば、今まさにEVやプラグインハイブリッドを購入せんとするユーザーを一網打尽にできたかもしれない。
大型エンジンと大容量バッテリーの上に据えられた3基の強力モーターが火を噴き、敵陣に荷揚げ寸前な他社ユーザーを徹底的に叩いて捕獲するのである。
それでも時間稼ぎや一時的な優勢の確保にしかならないかもしれないが、日産占領前の三菱が送り出した車の集大成としてその性能を遺憾なく発揮し、せめて有終の美を飾れたような気がする。




 
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