ハイブリッド特許の無償開放という賭け
トヨタがハイブリッド技術の特許を無償開放するという。
スズキへの提供を決めたことといい、どうやらハイブリッド技術の積極展開を進める模様。
本格ハイブリッドの開発は技術やコストのハードルが高い。
長らくトヨタしか開発できず、ホンダはここ数年でようやく2モーター式を投入してきた。
日産はEVのシステムに発電用エンジンを組み合わせたものの、エンジンを直接走行には使わないのでEV用の高コストな超強力モーターや高速巡行時の効率に課題を残している。
一方、ヨーロッパで人気なディーゼルは排ガス偽装で逆風が吹き、一斉にEVへ舵を切られることになった。
その間は48Vバッテリーでオルタネーターを積極利用するマイルドハイブリッドで乗り切るつもりか。
確かに速度無制限のアウトバーンや国をまたぐ長距離巡行では本格ハイブリッドの長所は生かせない。
アメリカはガソリンが安いし、国土が広く渋滞が少ないのでやはり生かしにくい。
本格ハイブリッドはガラパゴスな技術として世界的にはスルーされ、一気にEV時代へと突入しそうな状況に見えなくもない。
このまま座して死を待つよりは特許を開放してでも本格ハイブリッドの普及を図り、ユニットや部品を手広く外販した方がマシなのかもしれない。
そうすればEV化の流れを緩やかにできるし、モーターやバッテリーの制御やインバーターとかの技術は来るべきEV時代に生かせて無駄にはならない。
特許が無償解放されても製造ノウハウや制御には高い技術力と長年の積み重ねが必要とされるだろうし、生産設備の追加投資も必要なので、特許料の分だけ安くなったトヨタの部品や制御ユニットを部分購入して自社の車に組み込むメーカーも多そう。
それに本格ハイブリッド車同士の争いになれば、トヨタはプリウスのブランドや一日の長を生かしやすい。
ハイブリッド技術は主に都市部のストップアンドゴーで威力を発揮する。
一方のディーゼルはハイブリッドが苦手な高速巡行が得意なものの、排ガス偽装とその規制強化によるコストアップで大型車以外は今後は搭載が難しいか。
そして欧米でも都市部に人は多いわけで、全員がしょっちゅう国をまたいで移動しているわけでもない。
東アジアだと渋滞はもはや名物になっているし、特に中国は膨大な車を短期間で全てEV化するのは現実的とはいえない。
そんな中で本格ハイブリッドの開発ハードルが下がれば、世界で普及する可能性はある。
EVだって今現在は高価で航続距離が限られ、充電時間が長く、銅やレアメタルの消費が桁違いに大きく、発電所が石炭火力だと二酸化炭素が減らないという問題がある。
マイルドハイブリッドはマイルド過ぎて燃費の向上幅が非常に限られるのはホンダやスズキのハイブリッドで見てきた通りで、EVへの繋ぎとしては相当に力不足か。
メーカーに課せられた燃費規制をクリアするには、EVとマイルドハイブリッドの組み合わせだけでは心もとない。
なので本格ハイブリッドやその延長線上のPHEVが、今後20年くらいは最適解であり続けるのではなかろうか。
そんなわけで、トヨタの特許開放はEV一辺倒な流れを変える可能性がある。
当面の現実的な解答として本格ハイブリッドが普及すればトヨタはサプライヤーとして儲けることができ、車の販売競争でも優位が期待され、EVが普及してもハイブリッドを支えるモーターやバッテリーの制御技術や搭載・設計ノウハウが生かせて十分対応可能だ。
てな感じにトヨタがいよいよハイブリッドで世界の覇権を握るのかと思いきや、不安がないわけでもない。
ヨーロッパは既にEVへと政治が動いており、アメリカは安価な自国のシェールガスの石油を背景にビッグ3に不利な環境規制を無かったことにしようとしていたりする。
これがもしディーゼル偽装が発覚した直後の無償解放だったら非常にタイムリーで時代がトヨタへ追随した可能性も高かったのだが、EVや48Vマイルドハイブリッドや2040年までのガソリン車の禁止とか、欧州の方針が固まってからだと時機を逸した感も否めない。
更にはトヨタは燃料電池車でも特許の無償開放を行っているが、なかなか広がる気配がなくて一筋縄ではいかない。
プリウスで華々しくデビューし、一時期はハリウッドセレブ御用達だったハイブリッド車も、今ではガラパゴス化の懸念が尽きない。
特許の無償開放というのは追い詰められたトヨタの窮余の策であり、断末魔の叫びであるかもしれないのだ。
それともこれまで培ってきた技術とノウハウで満を持して放つ必勝の策であり、大器晩成となるのか。
特許開放が、豊臣家が滅亡した大坂の陣での外堀内堀の喪失になるか、小山評定で陣営作りに成功して徳川の勝利を決定づけた関ケ原になるかは、トヨタからの今回の書状に対する各メーカーの反応に掛かっている。
スズキへの提供を決めたことといい、どうやらハイブリッド技術の積極展開を進める模様。
本格ハイブリッドの開発は技術やコストのハードルが高い。
長らくトヨタしか開発できず、ホンダはここ数年でようやく2モーター式を投入してきた。
日産はEVのシステムに発電用エンジンを組み合わせたものの、エンジンを直接走行には使わないのでEV用の高コストな超強力モーターや高速巡行時の効率に課題を残している。
一方、ヨーロッパで人気なディーゼルは排ガス偽装で逆風が吹き、一斉にEVへ舵を切られることになった。
その間は48Vバッテリーでオルタネーターを積極利用するマイルドハイブリッドで乗り切るつもりか。
確かに速度無制限のアウトバーンや国をまたぐ長距離巡行では本格ハイブリッドの長所は生かせない。
アメリカはガソリンが安いし、国土が広く渋滞が少ないのでやはり生かしにくい。
本格ハイブリッドはガラパゴスな技術として世界的にはスルーされ、一気にEV時代へと突入しそうな状況に見えなくもない。
このまま座して死を待つよりは特許を開放してでも本格ハイブリッドの普及を図り、ユニットや部品を手広く外販した方がマシなのかもしれない。
そうすればEV化の流れを緩やかにできるし、モーターやバッテリーの制御やインバーターとかの技術は来るべきEV時代に生かせて無駄にはならない。
特許が無償解放されても製造ノウハウや制御には高い技術力と長年の積み重ねが必要とされるだろうし、生産設備の追加投資も必要なので、特許料の分だけ安くなったトヨタの部品や制御ユニットを部分購入して自社の車に組み込むメーカーも多そう。
それに本格ハイブリッド車同士の争いになれば、トヨタはプリウスのブランドや一日の長を生かしやすい。
ハイブリッド技術は主に都市部のストップアンドゴーで威力を発揮する。
一方のディーゼルはハイブリッドが苦手な高速巡行が得意なものの、排ガス偽装とその規制強化によるコストアップで大型車以外は今後は搭載が難しいか。
そして欧米でも都市部に人は多いわけで、全員がしょっちゅう国をまたいで移動しているわけでもない。
東アジアだと渋滞はもはや名物になっているし、特に中国は膨大な車を短期間で全てEV化するのは現実的とはいえない。
そんな中で本格ハイブリッドの開発ハードルが下がれば、世界で普及する可能性はある。
EVだって今現在は高価で航続距離が限られ、充電時間が長く、銅やレアメタルの消費が桁違いに大きく、発電所が石炭火力だと二酸化炭素が減らないという問題がある。
マイルドハイブリッドはマイルド過ぎて燃費の向上幅が非常に限られるのはホンダやスズキのハイブリッドで見てきた通りで、EVへの繋ぎとしては相当に力不足か。
メーカーに課せられた燃費規制をクリアするには、EVとマイルドハイブリッドの組み合わせだけでは心もとない。
なので本格ハイブリッドやその延長線上のPHEVが、今後20年くらいは最適解であり続けるのではなかろうか。
そんなわけで、トヨタの特許開放はEV一辺倒な流れを変える可能性がある。
当面の現実的な解答として本格ハイブリッドが普及すればトヨタはサプライヤーとして儲けることができ、車の販売競争でも優位が期待され、EVが普及してもハイブリッドを支えるモーターやバッテリーの制御技術や搭載・設計ノウハウが生かせて十分対応可能だ。
てな感じにトヨタがいよいよハイブリッドで世界の覇権を握るのかと思いきや、不安がないわけでもない。
ヨーロッパは既にEVへと政治が動いており、アメリカは安価な自国のシェールガスの石油を背景にビッグ3に不利な環境規制を無かったことにしようとしていたりする。
これがもしディーゼル偽装が発覚した直後の無償解放だったら非常にタイムリーで時代がトヨタへ追随した可能性も高かったのだが、EVや48Vマイルドハイブリッドや2040年までのガソリン車の禁止とか、欧州の方針が固まってからだと時機を逸した感も否めない。
更にはトヨタは燃料電池車でも特許の無償開放を行っているが、なかなか広がる気配がなくて一筋縄ではいかない。
プリウスで華々しくデビューし、一時期はハリウッドセレブ御用達だったハイブリッド車も、今ではガラパゴス化の懸念が尽きない。
特許の無償開放というのは追い詰められたトヨタの窮余の策であり、断末魔の叫びであるかもしれないのだ。
それともこれまで培ってきた技術とノウハウで満を持して放つ必勝の策であり、大器晩成となるのか。
特許開放が、豊臣家が滅亡した大坂の陣での外堀内堀の喪失になるか、小山評定で陣営作りに成功して徳川の勝利を決定づけた関ケ原になるかは、トヨタからの今回の書状に対する各メーカーの反応に掛かっている。
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